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居住用不動産を売却する場合、売却益には譲渡所得税と呼ばれる税金が課せられますが、その際に、条件次第では様々な特別控除や特例が適用されることをご存知ですか?
利益の最大化を図るためにも、この特例はぜひ覚えておくべきです。
そこで今回は、居住用不動産の売却益が出た場合に使える3,000万円の特別控除と軽減税率の特例について詳しく解説していきます。
居住用不動産の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
居住用不動産(マイホーム)売却で受けられる3,000万円の特別控除とは?
不動産売却をした場合、譲渡所得税が生じます。その取得税に対して、最高で3,000万円もの特別控除を受けられる場合があります。
この特別控除を受けるには、一定の条件を満たさなければなりませんが、ここでは、3,000万円の特別控除を受けるために満たす必要がある条件について詳しく説明します。
3,000万円の特別控除を受けるには、主に次の3つの要件を満たす必要があります。
居住用の不動産である
特別控除を受けるためには、売却する不動産が「居住用」である必要があります。例えば、別荘として使っていた不動産を売却しても特別控除の対象にはなりません。
また、居住用不動産(マイホーム)のリフォームなどで一時的に住んでいた物件の不動産売却もこの特別控除の対象ではありません。
売却した年の前年や前々年に特例を受けていない
居住用不動産を売却をした年の前年、あるいは前々年に3,000万円の特別控除や特定居住用財産(居住期間10年以上)の買換えや交換の特例などを受けていると、この特別控除を受けることはできません。
親子や夫婦間での不動産売買でない
3,000万円の特別控除を受けるには、不動産売却する相手も問題になってきます。
例えば、不動産を売却する相手との関係が親子や夫婦であれば、この特別控除を受けることはできません。
この他にも、売却した不動産が不動産買い替えの特例などの適用を受けている場合も、3,000万円の特別控除は諦めなければなりません。
さらに、確定申告をしなければ、適用条件を満たしていてもこの特別控除を受けることはできません。なお、確定申告に関しては後述します。
3,000万円の特別控除と併用可能?軽減税率の特例とは?
居住用不動産(マイホーム)売却した時に適用対象になる3,000万円の特別控除と併用できるものに、軽減税率の特例があります。
こちらについても、対象者が多いので詳しく解説しますね。
不動産売却した場合、その所有期間によって短期・長期に分け、税率が変わってきます。
原則として、長く所有している方が税率は安く設定されますが、居住用不動産(マイホーム)売却の際に軽減税率の特例に該当すれば、長期譲渡所得の税率よりもさらに低い税率で税額を計算できます。
居住用不動産(マイホーム)売却した場合の軽減税率は次の通りです。
課税譲渡所得金額 | 所得税・住民税の税率 |
---|---|
6,000万円以下の部分 | 所得税10%/住民税4%の合計14%(別途、復興特別所得税0.21%) |
6,000万円超の部分 | 所得税15%/住民税5%の合計20%(別途、復興特別所得税0.315%) |
また、この特例を受けるには、次の要件を満たす必要があります。
居住用の不動産である
これについては、3,000万円の特別控除の要件と同じです。
なお、生活の拠点となる不動産が2つ以上ある場合は、どちらか1つ(主に居住用不動産(マイホーム)として使用していた方)のみ特例の対象になります。
売却した年の1月1日現在において、家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えている
軽減税率の特例の所有期間の考え方は少し特殊で、売却した年の1月1日を起算日にします。
例えば、2018年2月に購入し居住を開始した場合、軽減税率の特例を受けられるのは2028年1月1日以降に売却した場合になります。
不動産居住中に何回1月1日を迎えたかを考えるといいでしょう。
売却した年の前年及び前々年に該当する特例を受けていない
これも3,000万円の特別控除と同じです。
親子や夫婦間での不動産売買でない
これについても3,000万円の特別控除と同様です。
こうやって見てみると、軽減税率の特例は3,000万円の特別控除の対象者であれば、所有期間さえクリアすれば該当する可能性が高いということが分かりますね。
ただ、所有期間内に次のようなことがあったのであれば、適用条件に該当するのかちょっと気になりませんか?
- 単身赴任、転勤等でしばらく住んでいなかった
- 他人に貸していた
- 建物と土地の所有者が異なる
- すでに家屋を取り壊した
- 店舗兼住宅である
それぞれのケースについて解説していきます。
1.単身赴任、転勤等でしばらく住んでいなかった
軽減税率の特例の適用を受けるには、売却した不動産がマイホームである必要があります。
単身赴任や転勤などで一時的に離れていたとしても、配偶者などがマイホームに住んでいて、単身赴任後に戻ると考えられる場合は、この特例の適用を受けることができます。
2.他人に貸していた
原則的に、他人に貸していた場合は軽減税率の特例を受けることはできません。
ただ、元々マイホームとして使っていた不動産を他人に貸していた場合は、所有者がマイホームに居住しなくなった日から3年以内(3年を経過する日の属する年の12月31日までの間)に売却した場合は、この特例の対象になります。
3.建物と土地の所有者が異なる
建物と土地の所有者が異なる場合は、原則として、この特例の対象にはなりませんが、建物と土地を同時に売却した場合、建物と土地の所有者が同居して、かつ生計を一にしている親族であれば軽減税率の特例が適用されます。
4.すでに家屋を取り壊した
次の条件を満たせば、軽減税率の特例が適用されます。
- 家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において、その敷地の所有期間が10年を超えていること
- 該当する敷地の売買契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結されていること(家屋を取り壊す前から住んでいない場合は、居住しなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること)
- 家屋を取り壊してから売買契約を締結した日まで、別の用途で使用していないこと
5.店舗兼住宅である
住宅部分のみが特例の対象になります。ただし、住宅部分が全体の90%以上ならばすべてを住宅部分とみなします。
3,000万円の特別控除を受けるには確定申告が必要?
3,000万円の特別控除を受けるためには、上記で解説した条件の他にも、確定申告が必要になります。
具体的には、居住用不動産を売却した次の年の2月16日~3月15日の期間内に確定申告をしなくてはいけません。
いくら3,000特別控除の適用条件を満たしていても、確定申告を怠ると3,000万円の特別控除を受けることができなくなるので注意しましょう。
確定申告時に準備すべき書類は?
確定申告時に必要な書類は「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」です。
また、以下の書類は必須ではありませんが、準備しておくと手続きをスムーズにすることができるので、余裕があれば準備しておきましょう。
- 居住用不動産購入時の売買契約書
- 居住用不動産購入時の諸費用(仲介手数料や登記費用など)の領収書
- 居住用不動産売却時の売買契約書
- 居住用不動産売却時の諸費用(仲介手数料や登記費用など)の領収書
- 居住用不動産の登記事項証明書
なお、確定申告自体がよく分からないという方は、以下の記事で確定申告について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:居住用不動産を売却する前に特別控除の確認をしよう
居住用不動産を売却した際に受けられる特別控除や特例について説明してきましたが、意外と条件に該当する人は多いのではないかと思います。
売却前に一度ご自分のマイホームが特別控除等の対象になるか確認をしてみましょう。
特別控除や特例の適用を受けるためにすべきこと
ここで忘れてはならないのが、確定申告です。
いくら条件を満たしていても、確定申告をしなければ3,000万円の特別控除も軽減税率の特例も受けることはできません。
マイホームを売却した際に、利益が出た場合はもちろん、損失が出た場合にも受けられる特例がありますので、確定申告は忘れずに行いましょう。