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「土地転がし」と呼ばれ、バブル期に全盛を誇った土地の転売ですが、転売は今でも有効な手段なのでしょうか?
転売は「土地を安く買って高く売る」というとてもシンプルな取引で、これを繰り返すことで利益を得ます。
ただ、一般の投資家が転売で利益を得られたのはバブル期の話で、不動産の相場形成や税制などが変わったことにより、転売で儲けるのは難しくなりました。
そこで今回は、転売に関する法律や、現代において転売で儲ける方法を解説していきたいと思います。
目次
土地の転売で億万長者は昔話?
土地の転売で荒稼ぎできるというのは、残念ながらバブル期の日本の話です。
バブルの頃の日本では、「不動産は値上がりする、そして売れる」というのが常識でした。そのため、購入希望者も多く、土地を転売するだけで莫大な利益を上げることができました。
しかし、現代では不動産価格には相場があり、それを大幅に下回る価格で売ってくれる人は滅多にいませんし、また、大幅に上回る価格で購入してくれる人もいません。
現代の不動産投資家で、土地の転売だけで利益を出そうとしている人はあまりいないでしょう。今どきの不動産投資は、広い視野に立って多角的に運用していく必要があります。
税制の観点からも土地の転売で利益は上げにくい
土地の転売で利益を出すのを難しくしている要因は、バブル期と現代の不動産市場の常識が違うこと以外にもあります。
その中で、最も大きな要因が「税制」です。
取得してから5年以内の不動産を売却した際の利益に対して課税される所得税と住民税は、5年以上経ってからの売却に比べて税率がほぼ倍になります。
5年以内の売却だと、売却益の4割ほどを税金として納めなければならないのです。
土地の転売に関する法律や税制
不動産投資に興味がある人の中には、土地の転売はそもそも違法行為じゃないの?と思っている人もいるかもしれませんね。
結論から言うと、土地の転売は違法ではありません。
土地を購入するという行為も、それを売却するという行為も何ら問題ない不動産取引です。
そもそも、別の目的があって購入した土地を事情が変わってすぐに売るのと、最初から転売目的で土地を購入し売却するのには、外見上違いがありません。
ですから、仮に土地の転売を禁止したとしても、両者を区別することは難しいでしょう。
土地転売に関する税制は実質的な規制?
先ほどもお話しした通り、土地の売却には所有期間5年を境に大きな税率の差があります。このような税制ができた理由はいくつか考えられますが、その一つにかつての不動産バブルとその崩壊への反省があります。
バブルの頃は、不動産は値上がりするという神話のもと、土地の転売がマネーゲームのように投機目的で繰り返され、実態の伴わない地価の上昇を招きました。
その結果はご覧の通りで、このような「土地転がし」を防ぐ効果が、短期譲渡所得の税制にはあります。
不動産バブルの終焉から20年以上経ちますが、制度だけは残っており、土地の転売が異常に活発になり地価が高騰する抑止力になっているのです。
さて、ここで、土地転売に関する税制について、少し詳しく見てみましょう。
土地転売は禁止こそはされていませんが、5年以内の売却に対しては、高い税金がかかることはお話ししました。
この税制は「短期譲渡所得」という規定で、「売却した年の1月1日現在で所有期間が5年以下」だと30%の所得税と、9%の住民税の合計39%が課税されます。
これに対して、1月1日現在で所有期間が5年以上経過している場合は、「長期譲渡所得」となり、所得税が15%、住民税が5%の合計20%の課税で済みます。
さらに、平成49年までの特例措置として、この税金に加えて土地の売却益には、復興特別所得税として2.1%が課税されます。これは、短期譲渡所得も長期譲渡所得も同じです。
ただ、転売目的以外で、土地を短期で売却する必要がある場合もありますよね。その際の救済処置として、以下の場合は、特例が適用されて、控除が受けられます。
- 公共事業のために売却:控除額5,000万円
- マイホームの売却:控除額3,000万円
- 特定土地区画整理事業:控除額2,000万円
特例が受けられるケースを見ると、国の事業や政策のために土地を売却する場合や、自己居住用の土地建物であることが分かります。
ここから、転売のような利益追求のための短期売却が課税の対象になっていることが伺えますね。
土地転売で利益を上げられるか
少し前の話になりますが、お笑いタレントの松本人志さんが新橋の土地を16億円で売却し、8億円儲かったというニュースがありましたね。
現代でも土地の転売で大きな利益を上げたという話を聞くと、まだまだ転売で儲けられるのではないか?と考えてしまいます。
果たして、土地の転売で利益を上げることは可能なのでしょうか?
土地転売に成功するカギは情報力
土地の転売に限らず、「安く仕入れ高く売る」というのは、ビジネスで利益を出すための鉄則です。
ですから、土地の転売に関しては、いかに値上がりしそうな土地を見つけ、購入するかということが大切になってきます。
そこで重要になってくるのが情報力です。土地の転売の場合、売りに出される前の売却情報をいかにキャッチするかが勝敗の分かれ目になります。
そう考えると、残念ながらネットに出ているような売却物件を転売して利益を出すことは難しいでしょう。
不動産投資が素人に難しいのは、収益物件の情報を握っているのは、不動産会社と不動産会社が懇意にしているプロの不動産投資家たちだからです。
高い収益が見込める物件は、市場に出回る前にこれらの不動産会社やプロの不動産投資家が購入してしまい、市場に出回ることはまずありません。
ネットなどに出ている物件というのは、実は「薄利な売れ残り」なのです。
そのため、土地転売で利益を出したいのであれば、人脈を作り囲い込まれている情報をできるだけ早くキャッチすることが大切です。
さらに、転売目的で土地を購入するのであれば、その土地の価格が上昇することを予測できなければなりません。
例えば、下記のような周辺環境に関する情報もキャッチし、その土地の利用価値が上がるか検討する必要もあります。
- 近くに新しい駅ができる
- 集客力のある施設ができる
- 企業や工場が進出する
こういった情報は、特定の人に情報が流れた時点で不動産取引が行われてしまうことが多く、一般の投資家がなんの準備もなしに参入するのは難しいでしょう。
一般投資家が土地の転売で儲ける方法
これまでの話を読んで、「なんかずるい」と感じた人もいるかもしれませんが、株式投資などと違い、特定の人たちだけに優先的に情報が流されて取引が成立してしまうことは不動産投資では違法行為になりません。
しかし、土地を安く買って高くなったときに売るだけで大きな利益を得られるのですから、できれば土地転売の恩恵にあずかりたいですよね。
そこで、一般投資家でも土地転売で利益を出せる可能性がある方法をいくつかご紹介します。
- インナーサークルに入り込む
- 土地活用から始める
管理人
インナーサークルに入り込む
情報がものをいう土地転売で成功する方法として、多くの情報源にアクセスできるポジションを獲得するというものがあります。
不動産の情報が一番入ってくるのは、言うまでもなく不動産業者です。
不動産業者には、レインズなどの不動産業者しかアクセスできない情報ネットワークや不動産業者同士の情報網など、不動産に関して数々のアドバンテージがあります。
ですから、不動産会社を自ら立ち上げ、これらの情報ネットワークの輪に入ることも1つの方法です。
管理人
ただ、一般投資家として蚊帳の外で得る情報よりもはるかに質が高い情報に触れられる確率は高くなるでしょう。
さらに、法人として不動産会社を立ち上げた場合は、5年以内の不動産取引であっても短期譲渡所得税の対象になりません。
土地活用から始める
土地の転売は、方法がシンプルなだけに魅力的と感じる人もいますよね。基本的に、不動産投資で利益を上げる方法は2つあり、1つはインカムゲイン(賃料収入)、もう1つはキャピタルゲイン(売買差益)です。
土地の転売はキャピタルゲイン狙いの投資ですが、土地の転売だけで利益を上げようと考えると、いかに安く土地を仕入れるかで勝負がついてしまい、手に入る情報の質からいって、一般の不動産投資家は圧倒的に不利な立場にあります。
そこでおすすめしたいのが、土地活用しながら、高く売れるチャンスが到来したら売るという方法です。
税金の面で見ても、短期で売却するのは薄利なので、5年以上は所有してから売却した方がいいと思われます。
その間、土地活用しないままだと固定資産税などの税金がかかるので、その土地だけを見ると赤字です。
駐車場などを運営して、インカムゲインとまではいかなくても、税金分の収入を得られれば転売の時期を焦らずに待つことができます。
実際、一般の不動産投資家で土地の転売に成功した人の多くが「運が良かった」というケースばかりで、地価が上昇すると予想される情報を予め入手して転売した人は意外に少ないです。
「将来的に人口の増加が見込まれる」「立地が良い」など、地価が上昇するとはっきり言えないまでも、地価が買値以上に下がりそうにない土地を購入し、土地活用しながら売却の時期を待つというのも、転売に成功する方法と言えるでしょう。
もし、土地活用を検討したいという人は、「自分に合った土地活用は何?ベストな土地活用を行うための全知識」という記事で、土地活用に関する詳しい情報を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:土地の転売で利益を出すのは難しい
結論から言うと、素人が土地の転売で利益を出すのは難しいです。
短期の売却だと税金が高くなることを紹介しましたが、不動産会社を介して売買をする場合は、不動産会社に手数料も払わなければなりません。
さらに、一般の不動産投資家がアクセスできる情報には限界があり、落ちている情報は不動産会社やプロの不動産投資家が見向きもしない残り物の物件情報です。
現代において、素人の土地転売は薄利なビジネスと言えるでしょう。
土地転売は不動産投資の手法の一つにすぎないと心得よう
不動産投資の経験がまだない初心者は、まず、購入した土地を運用して利益を得ることを先に考えた方がいいでしょう。
転売することを目的にするよりも、何年か運用した後の出口戦略として土地の売却を考えた方が、成功する確率は高いでしょう。