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家や土地などの不動産を所有している場合、「相続」か「贈与」で迷っている方も多いのではないでしょうか?
相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を法律に定められる順位に基づき相続人が継承することを意味します。
一方、生前贈与は、財産を贈与する人(贈与者)が生存しているうちに、贈与者が亡くなった後に相続されるである財産を受贈者(財産を受ける人)に無償で譲ることを意味します。
この記事では、相続と贈与のメリット・デメリットを踏まえて、相続ではなく生前贈与を選んだ際の贈与する方法や手続きをご紹介します。
管理人
目次
家を相続するメリット・デメリット
家を相続した場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
家を相続するメリット
相続のメリットとしては、節税効果が大きいという点が挙げられます。
贈与税は、相続税よりも負担が大きく設定されているので、生前贈与を選択しても、さほど節税に繋がらないのが現状です。
また、生前贈与の契約が成立すると他の方法に途中で変更できません。
そのため、相続税制度の改正があった場合などは、不利になる可能性もあります。
これに対して、相続税は、原則として【3,000万円+600万円✕相続人】の額だけの基礎控除が適用されます。
そのため、一般的なファミリー向けの戸建てやマンションといった居住用不動産であれば、非課税となることがほとんどです。
管理人
また、不動産の相続であれば相続人に対して不動産取得税が課税されないので、税金の面を考えると、相続は贈与に比べてメリットが多いです。
家を相続するデメリット
相続のデメリットとしては、比較的短期間のうちに多額の支出が発生するという点です。
というのも、相続税の納付期限が被相続人の死後10ヵ月以内と定められているからです。
さらに、被相続人の生前にきちんと遺産を相続する方法を話し合っておかないと、遺産を分割する際にトラブルになることもあります。
家を生前贈与するメリット
家を生前贈与する際に考えられる主なメリットとしては、次の3つがあげられます。
- 特定の人に譲ることができる
- 相続税対策として活用できる
- 価値が変動するものは贈与のほうが得になる可能性がある
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特定の人に譲ることができる
相続でも、遺言を遺すことで、特定の人に特定の財産を渡すことは可能です。
しかし、その場合だと、相続人が被相続人の一親等の血族でない場合は、相続税が2割加算されてしまいます。
贈与税は、このような縛りがないので、孫などの推定相続人以外に財産を渡す場合に有効です。
また、相続の場合、遺言書の書き方を間違えると、無効になることがあります。
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相続税対策として活用できる
相続税は財産が多ければ多いほど、課税される額も大きくなります。
そのため、あらかじめ贈与しておくことで、所有している財産を減らし、相続税を減らすことができる場合があります。
ただし、場合によっては、贈与税のほうが高くなる場合もあるので、よく検討する必要があります。
価値が変動するものは贈与のほうが得になる可能性がある
ずっと価値が変わらないものを渡す場合、相続と贈与を比較すると、基礎控除の額が多い相続のほうが得です。
しかし、価値が変動するものに関しては、贈与のほうが得になる場合もあります。
というのも、相続と贈与どちらに関しても、それが発生した時点での財産の評価で税額が算出されるからです。
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例えば、贈与時点で1,000万円くらいの価値だったものが、相続時には1億円となっていた場合、贈与していたほうが得だったということになります。
家を生前贈与するデメリット
家を生前贈与する際に考えられるデメリットとしては次の2つが考えられます。
- 不動産取得税や登録免許税が課税される
- 税務署に生前贈与と認められないことがある
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不動産取得税や登録免許税が課税される
贈与時の不動産取得税と登録免許税の計算式は次の通りです。
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また、相続の場合、不動産取得税は課税されません。
税務署に生前贈与と認められないことがある
生前贈与を行う場合、贈与契約書の作成や不動産の名義変更の手続きを確実に行うなどして、贈与の証拠を残しておく必要があります。
でないと、税務署に生前贈与と認めてもらえないケースがあります。
家を生前贈与する方法
贈与の方法には次の2つの方法があります。
- 暦年贈与
- 相続時精算課税制度
また、夫婦間の贈与であれば、非課税枠があります。
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暦年贈与
贈与税には基礎控除があり、1年間に受けた贈与額が合計110万円以下であれば贈与税は課せられません。
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暦年贈与を行った場合、110万円は贈与を受けた人(受贈者)の規定となります。
そのため、父親が子ども2人にそれぞれ1年に100万円ずつの贈与を10年間行っても贈与税は課税されません。
また、家の場合は持分の贈与となります。
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ただし、「最初から決まった金額を贈与するつもりだった」と判断されると、一括で贈与したとみなされ、贈与税が課税される場合があるので注意しましょう。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、贈与があった年の1年1月時点で60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に贈与を行う場合に最大2,500万円まで贈与税が課税されず、相続時に生前贈与分と相続財産を合わせた額に対して相続税が課税される制度です。
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2,500万円を超えて、すでに贈与税を納税している部分に関しては、相続税から贈与税を差し引くことができます。
相続時精算課税制度を利用した場合、贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告書と一緒に下記の書類を税務署に提出する必要があります。
- 相続時精算課税制度選択届出書
- 受贈者の戸籍謄本等
夫婦間の不動産の贈与における非課税枠
居住用不動産を夫婦間で贈与する場合などは、一定の条件を満たすことで、最大2,000万円まで贈与税が非課税となる制度があります。
この特例を「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」といい、110万円の基礎控除の他に最大2,000万円までの贈与ができます。
適用条件は次の通りです。
- 婚姻期間が20年以上経過した夫婦間での贈与であること
- 贈与財産は国内の居住用の不動産または居住用不動産を取得するための資金であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日まで、その居住用不動産またはその資金によって取得した居住用不動産に贈与を受けた人が居住しており、その後も引き続き居住すること
- 過去に贈与税の配偶者控除の特例適用を受けていないこと
この特例の適用を受けるには、以下の書類を税務署に届け出る必要があります。
- 受贈者の戸籍謄本
- 受贈者の戸籍附票の写し
- 受贈者の住民票
- 対象となる居住用不動産の登記事項証明書等
家を生前贈与する手続き
家を贈与する場合、家の名義変更をする必要があります。
最後に、その手続きに必要な書類をご紹介します。
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名義変更の際に必要な書類は次の通りです。
- 贈与契約書(登記原因証明情報)
- 贈与者の印鑑証明書
- 受贈者の住民票
- 固定資産税評価証明書
- 対象となる不動産の権利証
- 対象となる不動産の登記事項証明書等
なお、家の名義変更の手続きは、司法書士に依頼して代行してもらうこともできます。
詳しくは、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事家を相続したら名義変更が必要?手続きの流れや注意点など解説
まとめ
家の相続にはトラブルが付きものです。
不要な争いを避けるためにも、「相続するのか?贈与するのか?」一度家族全員で話し合っておくことをおすすめします。
後々のトラブルを避けるには「贈与」という方法はとても有効です。
ただし、贈与税は相続税よりも利率が高いので、トータルで考えた時の金額がどうなるかもしっかりと考えましょう。